【平均寿命の話です。今度は、WHO。】
世界保健機関(WHO)の先ごろの発表によると、今年も世界で一番の長寿
国を日本が保った。平均寿命が、世界最長ということである。「平均寿命とは、
0歳児における平均余命のことである。」今の0歳児は、理屈の上では82年
の平均余命をもっていることになる。
戦後間もない頃は、男性は平均余命が50歳くらいであった。織田信長では
ないが、まさに人生50年というにふさわしい状況であった。わずかに60年
ほど前の話である。60年間で32年の平均余命の伸びは脅威的だといえるの
ではないだろうか?。おなじモンゴロイド(黄色人種)の国、モンゴル。小職
は、食糧増産支援や鉱工業調査で国の仕事を行ったことがある。97年当時、
小職担当の運転手さんが御母堂を亡くされ、お悔やみに伺うと60歳と知り、
若いなあと思わず口をついて出た。実は、その地域では長寿でめでたいとのこ
とだった。地域によっては、40歳台の平均寿命しかないところもある。過酷
な気象、食糧事情、保健衛生体制と様々な問題を抱えている。横綱朝青龍は、
ウランバートルの都会出身だが、遊牧民的なマインドを忘れない。命を散らす
が如くにぶつかる姿は、実は、命を惜しんで一瞬一瞬を懸命に重ねているかの
ようにも見える。
さて、諸外国との比較だが、男性の平均寿命はスイスとほぼ同じ78歳であ
る。女性は、モナコとほぼ同じで85歳である。男女平均は、ほぼ82歳にな
る。気になるのは、男女の平均寿命の差である。戦後間もなくは、3歳くらい
だったが、今は6歳くらいである。格差はどんどんついてきている。
先ごろ、弊協会の女性委員会主催の講演で、評論家の木元教子女史が、男女
の平均寿命の差は、「生活能力の差」と触れられた。自助自立の精神は、「老
後こそ」と御同輩と確認しあう事だろうか?
気になる平均寿命の一番短い国だが、スワジランドで35歳。シエラレオネ
は、5歳児未満で亡くなる率が、1000人あたり283人とWHOは伝えて
いる。このような現実を前にすると感想をまとめることが出来ないほどに衝撃
的である。
宗教観からではない、現実に与えられた時間として命は大事にした
い。そして、それだからこそ、無事に人生をまっとうできない可能性の高い子
供たちを一人でも救いたい。アフリカから、AIDS渦で両親が死に絶えた数
百人の子供たちに、給食が与えられている写真が、世界食料計画の広報写真な
どで伝えられていた。そして、やがてその子供たちも発症し死ぬとある。子供
たちは、等しく、私たちの未来のはずだ。一人でも救いたい。