人気ブログランキング | 話題のタグを見る
誰でもわかる国際理解教育や国連支援活動を中心としたblogです。              提供:資源循環プロジェクト

by fsun_rrp
 
FSUNメルマガVol.16より
【「椿」。春待ちわびる人の耳に届く響きはいかがなものだったろうか。】

 「花」といえば「桜」であり、頃は「春」に違いない。これは「季語」とい
うより、日本人の魂の約束事に近い感じがする。「椿」は、日本語では言わず
と知れた「つばき」。中国語では「チン」。「椿事」と書けば、「めずらしい
事、喜ばしいこと」だという印象がある。

 さらには、「長寿、長編」などの意味も加わる。「椿」は、日本では「首か
ら、ぽろりと落ちる」ことから、病気の見舞いには最も向かない花だとされて
きた。他方、「落花に雪。踏み惑うが如く」と書けば、それは「雪の上に落ち
た、色鮮やかな椿」に違いない。時代小説なら、刃傷沙汰が起きて「斬っては
捨て、斬っては捨て」の予感がする。なにかと話題に困らない花である。が、
しかし「椿」は、日本と中国では違う物をさす。ちなみに中国では栴檀である。
「栴檀は、双葉より芳し。」のそれである。(栴檀林と書けば、人材が集う学
びの場であったり、教育の場であったりする。)仏縁が深い樹木であり、哲学
的な匂いがするし、崇高な気配が漂う植物である。

 ではなぜ、日本で「つばき」を「椿」とするようになったか?





 これについて、碩学金田一春彦博士は、日本の南から「梅」から「菜の花」
「桜」と北へ上がって行くが、「桜」が青森あたりで咲いても、まだ肌寒い。
「つばき」が咲いてこそ「春」だと、青森あたりでは実感がされていたのでは
ないか。そのようなことから、どうやら「つばき」が、春の木になったようだ
とのこと。「つばき」こそは希望の花であり、人の暮らしを支える花に違いな
い。「椿」が花をつければ、こころに命の灯がともるような心地だろうか。雪
深い国々の想いがしのばれる想いがする。

 他方、中国の「椿」。漢字の本家の「椿」。前出のことわりどおり「縁起」
が、随分よい例えの花でもある。「椿」の「春」は季節のことではなく慶事を
あらわすような感じがする。わが国でも金田一博士によると滝沢馬琴先生が、
長編小説のタイトルに「椿」の字をあしらったりしたそうだ。よろこばしいこ
とには、日中間の理解に差があってもかまわないが、口泡ものの論議をせねば
成らないときには困り物である。

 中国語は、全て漢字表記。「カナ」同様に外来語を、全て漢字で音に似せて
表記は困難。すると、意味を咀嚼して漢字表記するものと音に似せて漢字表記
するものが混在する。中国人には、読めても意味不明の言葉が、多く溢れ出て
いるのだ。そんな時、和製漢字表記されたものを、中国は日本から輸入すると
良い。小職は、英米で発展した学問を中国から漢字を借りて学び、国際協力で
中国に派遣され、そこで漢字を使って指導した経験がある。漢字をお借りした
日本からのお返しと挨拶も出来た。大きな救いである。
by fsun_rrp | 2005-05-26 14:14 | メールマガジン
<< FSUNメルマガVol.17より 〈マガジン9条〉 >>


S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
検索
LINK
最新のトラックバック
ライフログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
関連リンク